本記事は医師監修の下執筆されております。
お腹がすぐに空いて困る!食欲亢進との付き合い方を解説
2020.05.01
周りの人と同じ量を食べても自分だけすぐにお腹がペコペコになる。
もしかするとそれ、『食欲亢進』の状態に陥っているかもしれません。
食欲亢進は『食べたい!』という欲求が旺盛になっている状態で、病気の症状の1つです。
本記事では食欲亢進になりやすい人の特徴や対策、治療法などをわかりやすくまとめました。ご覧ください。
目次
食欲亢進(しょくよくこうしん)とは?
食欲亢進は食欲が旺盛になりすぎた状態のことです。
「亢進」という言葉はあまり聞きなれないかもしれませんが、甲状腺機能が異常に働き過ぎる「甲状腺機能亢進症」や、動悸が激しくなる「心悸亢進」などのように病気や病状を表すときに使われます。
つまり、食欲亢進も症状の1つです。
朝昼晩の食事の量が異常に増えてしまったり、頻繁に食事をしないと空腹を感じるようになったりしたときは、食欲亢進の可能性があります。
食欲亢進かどうかを知る手がかりとなるのが、自分の食生活の記録です。
詳細は後述しますが、以前と比べて食事の量や回数が増えている場合は食欲亢進の可能性を疑いましょう。
※病気や薬の副作用で引き起こされることもある
食欲亢進の症状があるときに少し気を付けたいのが、病気や薬の影響です。
副腎皮質ステロイド、抗ヒスタミン剤のペリアクチン、セルテクトなどを使ってる場合、食欲亢進の副作用がでる場合があります。
抗精神病薬は抗ヒスタミン作用を持つものが多いので、抗精神薬を服用している場合は食欲亢進が見られるようです。
持病がある人や常用している薬がある人は、病気や薬のせいで食欲亢進になるケースも少なくないので、その場合はかかりつけのお医者さんに相談するなどして対処しましょう。
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食欲亢進になりやすい人はこんな人!
肥満傾向の人
ストレスが溜まってる人
就寝前に食事をとる習慣がある人
早食いの人
食欲が止まらない原因は摂食中枢と満腹中枢の乱れ
食欲亢進が起こる原因のひとつが、摂食中枢と満腹中枢のバランスの崩れです。
- 摂食中枢=食べたい!と伝える中枢
- 満腹中枢=食べたくない!と伝える中枢
これら2つの中枢はブドウ糖や遊離脂肪酸の濃度、ケトン体、インスリン、ドーパミン、グルカゴン、セロトニンなどによって交互に刺激され、人は満腹と空腹を交互に感じるようになります。
それらがうまく刺激されなかったりすると、食欲をうまくコントロールできず、結果として食欲亢進といった摂食障害に陥りやすくなります。
小難しい話に聞こえますが、簡単に言えば、人の食欲は摂食中枢と満腹中枢によってバランスが保たれているから、それが乱れたら食生活も乱れやすいよねって話です。
食欲とかかわりが深いレプチン
近年注目されているホルモンのひとつ「レプチン」には以下のような特徴があります
- 脂肪細胞から分泌される
- 摂食中枢に作用し食欲を抑える
理屈上は脂肪が増えると食欲も抑制されるのですが、冷静になってかんがえてみると実際はそんなことありませんよね?肥満な人ほど良く食べますもんね。
実はレプチンは増えすぎると食欲抑制の効きも悪くなることが分かっています。これは「レプチン抵抗性」と呼ばれています。
レプチン抵抗性が生じると食欲亢進などの摂食障害が起きやすくなります。
ちなみに、余談ですが、レプチン抵抗性が起きる原因は以前まで不明でした。
しかし、2017年の研究で、肥満になると脳内に増える酵素「PTPRJ(protein tyrosine phosphatase receptor type J)」がレプチンの効果を阻害している原因だとわかりました。
なのでPTPRJの働きを抑える薬があれば肥満体型の人でも食欲をうまく抑えられるようになるかもしれませんね。
食欲を抑制する為に身体が沢山分泌したホルモン(レプチン)を、同じ過程で増えた酵素(PTPRJ)が邪魔するなんて、なんともおかしな話ですね。
食欲亢進の対処法3つ
①1日に食べたものや食事の回数を記録する
②食事の内容を見直す
③病院で相談をする
医療機関で行われる治療方法
食事指導
薬
手術
食欲亢進には早めに対処をするのがベスト
食欲が異常に亢進してしまうときは、まず自分の健康状態に問題がないかどうかをチェックする必要があります。
とくに問題がなければ、生活上の工夫で対処をしていけることが多いです。食欲亢進は、状態がエスカレートすると生活習慣病などを招く恐れもあります。
若い年代の人も、早めに対応を考えるのが良い方法になるでしょう。
本記事のまとめ
- 食欲亢進は食欲旺盛な状態のこと
- 抗精神病薬の副作用でよくみられる
- 肥満、ストレス、早食いも原因になりうる
- 生活習慣の改善でよくなることが多い
- 手遅れになる前に対策を
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