本記事は医師監修の下執筆されております。
糖質制限とカロリー制限を徹底比較!効果があるのはどっち!?
2020.07.21
たるんだ腕、ぽっちゃりした体。鏡を見て「痩せてみせる」と決意を固めたときがダイエットを始めるのにちょうどいいタイミングです。
ダイエットといえば、体重がするする落ちると噂の「糖質制限」と、従来からの「カロリー制限」がありますが、本当に効果があるのは果たしてどちらでしょうか。
というわけで今回は「糖質制限」VS「カロリー制限」を減量効果、続けやすさ、コスト面で徹底比較しました。
読むのがめんどくさい人は一番下に結果だけまとめてありますのでそちらをどうぞ!
目次
糖質制限ダイエットとは
糖質制限ダイエットとは、糖質を多く含む食品を制限することでメインのエネルギー源を中性脂肪に変えて効率的に脂肪を落とすダイエット方法です。
糖質制限ダイエットで食べてはいけないもの
- ご飯
- パン
- イモ類
- 糖質を多く含む野菜
- 根菜類
- 果物
- 醸造酒
- 砂糖を多く含む菓子や飲料
基本的には糖質が含まれてなければ何を食べても良いダイエットで、特にたんぱく質または脂肪が豊富な食品を多めに摂ります。
糖質制限ダイエットのメリット
- 効率よく体重を落とせる
- 筋肉の減少を抑えられる
- きちんと食事が取れる
糖質制限ダイエットをするとエネルギー源として中性脂肪の分解が促進されます。なので効率よく体重が減少されます。
極端な食事制限をすると脂肪ではなく筋肉が減ることが多いのですが、糖質制限ダイエットの食生活はタンパク質中心なので筋肉の減少が抑えられる所がGoodですね。
さらに肉や魚のタンパク質、脂質は腹持ちも良いので、空腹をそこまで我慢しなくても良いというメリットもあります。
糖質制限ダイエットのデメリット
- 便秘
- 様々な健康上リスク
糖質制限のデメリットは、食物繊維が不足しがちなことです。炭水化物は糖質と食物繊維から構成されているので、ご飯やパンといった炭水化物を制限すると、その分、食物繊維の摂取量が減ってしまいます。
野菜はもちろん、豆類(おから含む)や海藻類を意識して食べるようにしましょう。
糖質の代わりのエネルギー源として中性脂肪が分解されると「ケトン体」というエネルギーに変わります。
ただ、このケトン体、「かなり強い酸性物質」という問題点があります。
生体内には酸塩基平衡という、血液中のpHの濃度を一定に保つ仕組みがあるので普段であれば何ともありませんが、身体の調子を崩してそのバランスが壊れるとケトアシドーシスという意識障害を伴う危険な状態に陥る可能性があるのです。
そのほかにも国立国際医療研究センターの研究によると、低糖質の食生活は脳卒中や心筋梗塞、肝機能障害、腎機能障害、のリスクが高まるという指摘もあります。
上記の理由から過剰な糖質ダイエットは危険で、1日の糖質量が130g以内の、ゆるやかな糖質制限が奨励されています。
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目次
カロリー制限ダイエットとは
カロリー制限ダイエットとは、普段の食事の摂取カロリーを減らすシンプルなダイエット法です。
推定エネルギー必要量(kcal/日)は18~29歳の男性2650kcal、女性2000kcal、30~49歳の男性2700kcal、女性2050kcalと言われているので、その数値に合わせてカロリー計算をしていきます。
例えば体脂肪1kgを燃焼させるには、7200kcalを消費する必要です。
つまり「60日間で3kgやせる」なら
7200kcal×3kg÷60日=360kcalを減らせばいいということです。実際には脂肪だけが分解されるわけじゃないので誤差はありますが、カロリー制限ダイエットの基本的な考え方はこれです。
カロリー制限ダイエットのメリット
- 自由に献立が選べる
- バランスのいい食事
カロリー制限ダイエットのメリットは、どんな食品も食べて構わないので栄養が偏りにくいことです。
例えば主食となるご飯を控えめに、肉または魚の副菜1品、野菜を使った副菜2品、などいろいろな食品を組み合わせることでバランスのとれた食事になります。
運動と組み合わせればこれほど素晴らしいダイエットはないでしょう。
カロリー制限ダイエットのデメリット
- 自己流に陥りやすい
- 極端に偏った食生活になることも
一方、デメリットは、明確なルールがないので自己流に陥りやすいことです。
先ほど紹介した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、たんぱく質13~20%、脂質20~30%、炭水化物50~65%が1日に必要な総エネルギーの構成比率として理想的であると示しています。
しかし、揚げ物が好き、ピザが好き、などもともと食生活が偏っていた場合、カロリーだけ減らしても栄養バランスは最悪です。カロリー制限ダイエットを始める場合は、自分の食生活も見直す必要があります。
逆に痩せようとし過ぎるがあまり、生命維持に必要な基礎代謝量(18~29歳の男性1530kcal、女性1110kcal、30~49歳の男性1530kcal、女性1160kcal)を下回り、病的に痩せようとするのもおすすめしません。
糖質制限VSカロリー制限 減量効果が高いのはどっち!?
糖質制限とカロリー制限について「減量効果」という観点から比較した場合、軍配があがるのは「糖質制限」です。
イスラエルで行われた「DIRECT」という有名な臨床試験があります。この実験では肥満ぎみの男女322名を、
- 低脂肪食(カロリー制限あり)
- 地中海食(カロリー制限あり)
- 糖質制限食(カロリー制限なし)
のグループに分け、体重や中性脂肪、HDL(善玉)コレステロール、LDL(悪玉)コレステロールの推移を24か月間観察しました。
その結果、最も減量効果が高かったのが糖質制限食だったのです。
糖質制限食の場合、特に最初の6カ月間の推移が激しく、平均体重で約6.5kg(低脂肪食、地中海食は約4.5kg)減量したという結果が出ています。
「素肌をさらす機会が多い夏までに痩せたい」「結婚式で憧れのウェディングドレスを着てみたい」など、ダイエットに短期決戦でのぞむ場合は、カロリー制限より糖質制限が向いているといえるでしょう。
糖質制限VSカロリー制限 継続しやすいのはどっち!?
ダイエット成功の秘訣は「続けやすいこと」です。どんなに効果があっても継続できなければ意味がありません。
「DIRECT」臨床試験を見ると各ダイエットの完遂率は、低脂肪食で90.4%、地中海食で85.3%、糖質制限食で78.0%でした。
カロリー制限食グループは9割が成功していますが、糖質制限食のグループは、およそ2割が脱落しています。この結果だけみると続けやすさという観点においては「カロリー制限」に軍配があがりますね。
ちなみに「DIRECT」臨床試験の低脂肪食は、1日あたりの摂取カロリーを男性1800kcal、女性1500kcalとし、脂質の摂取量はカロリー摂取量の30%として行われたダイエットなのでそこまでキツくないです。
糖質制限VSカロリー制限 リバウンドを避けたいならどっち!?
糖質制限とカロリー制限、結論からいえばどちらもリバウンドしやすいことに変わりありません。
ただし、糖質制限は急激に痩せた分、リバウンドの跳ね返りが大きく、カロリー制限はその点緩やかだと言えます。どちらも一長一短ですね。この勝負は引き分けです。
そもそも、なぜリバウンドが起こるのか。原因は諸説ありますが、理由の一つに「恒常性(ホメオスタシス)」という言葉があげられます。
ホメオスタシスは身体の状態を一定にキープしようとする機能です。
暑い時に汗をかいて体温を下げようとしたり、身体に水分が減ってきたら喉が渇いたり、体重にもホメオスタシスが働いています。
つまり、食事制限で急に減量すると
身体の変化に気付いた脳
あれ?なんか最近身体が軽いぞ?48kgくらい?もしかして…飢餓かしら?
こんな感じで脳が身体の変化に気づき、
ホメオスタシス発動中の脳
大変!いっぱい食べて元に戻さなきゃ!51kgに戻さなきゃ!食欲もりもりぃっ!
とこんな感じでホメオスタシスを発動させて、身体を食欲旺盛にして太らせよう(体重を元にもどそう)とするわけです。
なのでリバウンドを無くしたければ、緩やかな体重減少にするか、運動や食事制限を継続しなきゃダメなんです。
痩身効果の高いダイエットとリバウンドは切っても切れない関係にあるということです。
糖質制限VSカロリー制限 コスパがいいのはどっち!?
糖質制限とカロリー制限、もしダイエットを始めて間もないころであれば、カロリー制限の方が安上がりです。
実は糖質制限は、主食であるコメやパンを制限する分、野菜や肉、魚といったおかずが増えるのでコストがかさみます。
一方、カロリー制限は主食やおかずの量を制限するだけなので、むしろ食費節約できます。
また、糖質制限をしている人向けに、ふすま粉(小麦などの穀物の表皮と胚芽)で作ったパンやおからパウダーとこんにゃく粉で作った麺、大豆の粉で作ったクッキーなど、いわゆる低糖質食品も販売されていますが、こういった食品は総じて割高です。
勿論、糖質が少ない上にお値段も手ごろな鶏肉、サバ、豆腐、納豆、卵を主食にすれば1日1000円以下の食費に抑える事も可能ですが、
自由度の高さやコスパ面から考えればカロリー制限が優勢と言えるでしょうね。
【結果】「糖質制限」は効果が高く、「カロリー制限」は続けやすい!
項目 | 糖質制限 | カロリー制限 |
---|---|---|
すぐ痩せる | ◎ | △ |
続けやすさ | 〇 | ◎ |
リバウンド | △ | 〇 |
コスパ | 〇 | ◎ |
糖質制限とカロリー制限、どちらにも長所と短所があります。もし、短期間で減量をする必要があれば糖質制限がおすすめです。
糖質制限は減量効果が抜群なので、ダイエット中でもモチベーションが下がりにくいのがいいですね。逆に、食事をバランスよく摂取しながら少しずつ痩せたいのであれば、カロリー制限がおすすめですね。
当院では満腹感を長続きさせることで無理なく痩せる「GLP-1ダイエット」のご案内をしております。「カロリー制限はしたいけど食欲を抑える自信がない」という方はぜひ一度ご相談下さいませ。
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