本記事は医師監修の下執筆されております。
単品だけを食べるダイエットに潜むリスクと解決策
2020.08.20
巷にはたくさんのダイエット情報が溢れており、中でも特定のものしか食べない『単品系ダイエット』は手軽に行えるため、試したことがある人もいるのではないでしょうか。
しかし、単品ダイエットには身体に深刻な影響を及ぼすさまざまなリスクがあるのです。
この記事では単品ダイエットが抱えるリスクや解決策について解説します。
目次
単品ダイエットのリスクその1-栄養バランスの崩れ
農林水産省の「食事バランスガイド」によると、デスクワークなどで活動量の少ない成人女性でも一日に必要な摂取カロリーの目安は1400~2000kcal、活動量が普通の成人女性の場合は2000~2400kcalです。
一つの食品だけを摂るダイエットは、必須栄養素が不足し栄養バランスが崩れてしまいます。
そもそも一日の摂取カロリーを1600kcal以下に抑えるダイエット法は、ほとんどの場合で必須栄養素が不足するといわれています。
栄養バランスが崩れると、身体にさまざまな不調を引き起こす危険性が高まります。
栄養バランスが崩れると…
- 食物繊維不足⇒便秘
- カルシウムやビタミンD不足⇒骨粗しょう症
- 鉄分不足⇒貧血、生理不順
ダイエットをして体重が減少したとしても、こうした症状が出てしまっては、きれいに痩せられたとはいえませんよね?
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単品ダイエットのリスクその2-リバウンドしやすい
「大学生および短期大学生の食生活と健康意識の調査」によると、単品ダイエットをして減量できてもリバウンドしてしまった人が多いことが報告されています。
本来、食事の量を減らし摂取カロリー<消費カロリーにすると、体内に貯蓄してあるエネルギーを使って不足したエネルギーを補うため、体重が減少します。
しかし、単品ダイエットは同じものだけを食べ続けるため飽きが来ることもあり、様々な種類の食べ物を安価に手に入れる事が出来る現代において、単品ダイエットを長期にわたって続けることはまず不可能です。
そのため、単品ダイエットを行っている時期は確かに体重は減少するかもしれませんが、目標まで減量が成功したからといって普段の食事に戻すと徐々に体重が戻る、いわゆるリバウンドが起こります。
後程詳しく解説しますが、単品ダイエットを続けて、痩せる⇒リバウンドをくりかえすと、痩せにくい体質になるので注意です。
単品ダイエットのリスクその3-基礎代謝の低下を招く
単品ダイエットの問題点は、人が生命を維持するために欠かせないたんぱく質(必須アミノ酸)やビタミン、ミネラルが不足することです。
栄養が不足した状態が続くと、病気を引き起こすだけでなく基礎代謝も低下します。
人は安静時でも心拍や呼吸、体温の維持など生命活動に必要なエネルギーを消費しており、このエネルギー量が基礎代謝です。基礎代謝が低下すると、筋肉量が少なくなるため減量しにくくなってしまうのです。
ダイエットをすることで筋肉や水分は減少したとしても、最も落としたい脂肪はほとんど落とせない結果になってしまいます。
ダイエットを成功させるには基礎代謝をいかに高めるかがポイントとなるため、単品ダイエットは基礎代謝の面から見ても目標に逆行しているといえるでしょう。
単品ダイエットのリスクその4-脂肪肝になりやすい
単品ダイエットなど極端な食事制限ダイエットをすると「低栄養性脂肪肝」になりやすくなるといわれています。
痩せていくのに脂肪肝?え?どうして?と思う方もいると思いますので、わかりやすく低栄養性脂肪肝になるまでのしくみを説明すると…
低栄養性脂肪肝になるまで
- 急激な体重減少を伴う食事制限系のダイエットをする
- 身体が飢餓状態だと感じる
- 全身の脂肪細胞や筋肉がエネルギー源を放出
- 筋肉が減り、基礎代謝も低下
- 消費エネルギーが大幅に低下
- 肝臓に脂肪がたまりやすくなる
- 脂肪肝のできあがり♡
こんな感じです。
脂肪肝は成人男性の2.5人に1人、女性の5人に1人がかかっているといわれている生活習慣病の一つで、肝臓に中性脂肪が蓄積する病気です。
脂肪肝になると、心筋梗塞や糖尿病、高血圧などの合併症になる確率が脂肪肝でない人と比べて2倍以上になります。
身体はダイエットで痩せていくのに内臓は逆に脂肪をためやすくなっているわけです。皮肉ですよね。
脂肪肝になると、血がドロドロになって血行が悪くなるため、全身の細胞に酸素や栄養素が行きわたりにくくなり、疲れやすさや肩こりなどの症状が出ていいことなんて1つもないですよ。
超短期なら単品系ダイエットは効果あり?りんごダイエットのお話
単品系ダイエットは身体によくないことだらけですが、1日~3日程度であればプチ断食と同じで身体に良い方向に作用する可能性もあります。
例えばりんごダイエットは、もともと19世紀、預言者や心霊診断家として知られるエドガー・ケイシーが提唱したケイシー療法の中に含まれる食事療法の一つですが、
腸の内壁に付着した宿便の解消、いわゆるデトックス的効果があるといわれています。
ケイシー流リンゴダイエット
- 3日間生の紅玉りんごだけを食べる
- 水は飲んでも良い
- コーヒーもミルクを入れなければ1日に2~3杯はOK
- 3日間りんごを食べた翌朝には、大さじ約2杯のオリーブオイルを摂る
りんごを食べた後でオリーブオイルを摂ることにより、腸内の老廃物が取り除かれ、体外に排出されるといわれています。
フルーツ繋がりで朝バナナダイエットなんてものもありましたが、これは朝食にバナナを食べたい本数だけ食べ、常温の水をこまめに飲むという方法なので単品系ダイエットとは少し違いますね。
ダイエットを成功させるために必要なこと
ダイエットが成功したか否かは、減量した後の体重を維持できているかどうかで決まります。
一時的に痩せたとしてもリバウンドしてしまい、痩せたときの体重を維持できていないのでは意味がありません。
健康的な身体を手に入れるためには、食生活の見直しから始めていくことが大切です。
理想は1日30品目を目標にたんぱく質、カルシウム、カロテン、ビタミンC、炭水化物、脂肪をバランスよく摂取すること。
どの食品群が欠けても健康な身体を保つことはできません。
また、摂取エネルギーよりも消費エネルギーを増やすためにも適度な運動を行いましょう。
体脂肪1gは約7.2kcalのため、1カ月で1kg体重を減らすには7200kcal、1日あたり240kca摂取カロリーを減らすか運動で消費することが必要です。
急に食べる量を減らすのではなく、今までの食事から主食やおかずを1口ずつ減らすことを継続していけば必ず効果が出てきます。
当サイトでは食欲に関する様々な知識をお伝えしていますので、他の記事もぜひ参考にしてみてください。
本記事のまとめ
- 単品系ダイエットには様々なリスクがある
- 栄養失調
- リバウンド
- 基礎代謝の低下
- 脂肪肝のリスク
- デトックスには効果あるかも?
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