本記事は医師監修の下執筆されております。
ダイエットのに役立つ『痩せるホルモン』のお話。
2020.10.29
人間の体内には100種類以上のホルモンが存在しています。
あ、ホルモンと言っても焼肉のホルモンではないですよ(笑)
わたしたちの身体にある「ホルモン」のことです。
ホルモン=身体を働きを保つために分泌される化学物質
ホルモンはそれぞれが異なる働きを持っていますが、中には内臓脂肪を減らしてくれたり、食欲を抑えてくれるホルモンが存在します。
というわけで今回は、ダイエットに役立つホルモンとその増やし方などをまとめて紹介していきます。
目次
ダイエットに関係するホルモン一覧
内臓脂肪を減らす為に覚えておきたいホルモンは全部で7つです。
まず、2大痩せホルモンと呼ばれている「GLP-1」と「アディポネクチン」、食欲を抑える、脂肪燃焼を促進することが期待されています。
次に、同じく食欲を抑える「レプチン」と食欲を刺激する「グレリン」
その食欲を刺激するグレリンの濃度の上昇を抑える「メラトニン」
そして、脂質の代謝に関わっている、女性ホルモンとして有名な「エストロゲン」
最後に、食欲抑制効果がある、幸せホルモンとしても知られる「セロトニン」
この7つです。
では、それぞれのホルモンについて詳しく解説していきますね。
目次
GLP-1|食欲抑制効果のある痩せホルモン
GLP-1とは、食欲と空腹を同時に抑える事ができる消化管ホルモンの1種です。
小腸の下部にある小腸内分泌L細胞から分泌されており、インスリンの分泌を促したり、食欲を制御したりする働きをしています。
GLP-1を直接摂取することで食欲を抑えて痩せる『GLP-1ダイエット』は当院でも人気の医療ダイエットです。
基本的にはどんな食べ物でもGLP-1の分泌が始まりますが、魚介の脂に多く含まれるEPAや食物繊維を摂ることで分泌量が増えると言われています。
小腸から分泌されるホルモンなので、腸内環境を整えることが最も大事です。
GLP-1を増やすには?
- EPAや食物繊維を多くとる
- 腸内環境を整える
アディポネクチン|メタボ予防効果のある善玉ホルモン
アディポネクチンとは、脂肪細胞から分泌されるホルモンで、糖尿病やメタボ予防に効果的です。
脂肪細胞から分泌されますが、肥満になると減少するという特徴があります。
日本人は遺伝的にアディポネクチンの分泌が少ない人が存在しており、太っていないのにアディポネクチンの少ない人が、30~40%程度いるといわれています。
食欲に関しては、空腹で血糖値が低いときの過剰な食欲を抑えてくれますが、満腹で血糖値が高いときには逆に食欲を増進させるという、相反した働きをする不思議なホルモンです。
なのでしっかりと空腹時間を作ってあげる事が大事です。
大豆製品に含まれるβ-コングリシニンやアマニ油に含まれるセコイソラリシレジノールなどがアディポネクチンの分泌を促進します。
アディポネクチンを増やすには?
- 喫煙者は禁煙
- 空腹時間を作る
- 大豆製品やアマニ油を摂る
- 内臓脂肪を減らす
脳
りんご、キウイ、サクランボ、ブドウ、ピーマンなどに含まれる植物由来のタンパク質『オスモチン』もアディポネクチンに似た働きをするとして注目されているよ!
レプチン|増えすぎると良くない食欲を抑えるホルモン
レプチンは「肥満ホルモン」と呼ばれるホルモンです。脂肪細胞から分泌されて脳の摂食中枢に働きかけ、摂食行動を抑えてくれます。
生きていくために食べたものをどのように消費し、非常時に備えてどこに貯蔵しておくかを調節しているのです。
脂肪が増えるとともに分泌量が増えますが、肥満になって過剰にレプチンが分泌されると、レプチンの効果が出にくい状態にもなります(レプチン抵抗性)。
この状態になるとレプチンが効きにくくなり、摂食の欲求が止まらなくなるので注意。
ある研究によればキャベツ、ダイコン、小松菜、ブロッコリー、白菜、チンゲンサイなどのアブラナ科野菜に含まれるフェネチルイソチオシアネート(PEITC)が、レプチンを活性化させる可能性があることが示唆されています。
レプチンを増やすには?
- あんま増やし過ぎちゃダメ
- アブラナ科野菜を食べよう
グレリン|お腹が空いたと知らせてくれる食欲ホルモン
これまで解説してきたホルモンの多くは食欲を抑えてくれる働きをしていましたが、グレリンはその逆で、食欲を刺激する働きをするホルモンです。
グレリンは空腹になると胃から血液中に分泌され、脳に働きかけて食欲を刺激します。
グレリンは睡眠時間が短くなると分泌量が増え、ストレスを感じやすくなって食欲を増進させます。
夜更かししてたら異常な食欲に襲われた、なんてのは増えすぎたグレリンが原因なのです。
グレリンの分泌量を減らすためには、しっかり眠る事が大事です。
横浜市立大学の研究によれば、漢方薬の防風通聖散がグレリンの血中濃度を低下させるので気になる方はそちらも自己責任でお試しください。
グレリンを減らすには?
- しっかりと眠る
メラトニン|グレリン増加を抑える眠気を促すホルモン
メラトニンは、睡眠を促す神経伝達物質です。
通常は就寝する時間の1〜2時間前から分泌され始めます。幸せホルモンと呼ばれるセロトニンを材料にして作られますが、メラトニンとは逆に、セロトニンは日中に多く分泌されて脳の覚醒を促しています。
メラトニンは直接的に食欲に働きかけているホルモンではありませんが、メラトニンがうまく分泌されずに睡眠が不足すれば、食欲を刺激するホルモンであるグレリンの働きにより食欲が増進されてしまいます。
人はストレスにさらされると食べる量が増えてしまうことがわかっているので、規則正しい生活をして夜はよく眠ることが、結果的にダイエットに繋がるでしょう。
メラトニンを増やすためには、朝起きてすぐに日光を浴びるのが効果的です。
またメラトニンとメラトニンの材料となるセロトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンから作られているので、トリプトファンが豊富な肉や乳製品などを多めに摂取すると良いでしょう。
メラトニンを増やすには?
- 朝起きたら日光を浴びる
- 牛肉や乳製品を摂る(トリプトファン)
エストロゲン|脂質代謝や精神安定につながる女性ホルモン
エストロゲンは女性ホルモンなので、女性にはおなじみのホルモンでしょう。
卵胞ホルモンとも呼ばれ、卵胞の発育を促進し、排卵を誘発するほか、糖や脂肪、骨の代謝にも関係しています。
エストロゲン自体には脂肪の代謝や脂肪をたまりにくくする効果があると言われています。
20代をピークに減少し、閉経後にはエストロゲンが急激に減少するので、年齢を重ねるほどメタボリックシンドロームや肥満の原因になります。
バランスのいい食事、適度な運動、しっかりとした睡眠の三拍子そろった規則的な生活習慣がエストロゲンの分泌を増やしてくれます。
大豆製品に含まれる大豆イソフラボン(を腸内細菌で変換すると出来るエクオール)はエストロゲンと似た働きをするのでそちらを摂取することでもカバーできますが、実は日本人の2人に1人は大豆イソフラボンをエクオールに変換する腸内細菌を持っていないので頼りすぎは禁物です。
エストロゲンを増やすには?
- バランスのいい食事
- 適度な運動
- よく眠る
セロトニン|前向きな気持ちになれる幸福ホルモン
セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質です。
睡眠ホルモンであるメラトニンの材料でもあり、よく眠れるようになりストレスに強くなる、幸せを感じやすくなるといった作用があります。
興奮したときに分泌されるアドレナリンやドーパミンの働きを抑制するので、気持ちが落ち着いて安定します。
脳はネガティブな感情を嫌うので、セロトニンを増やし、常に前向きな気持ちでいることはダイエットにおいても役立ちます。
セロトニンを増やすためには、規則正しい生活リズムを心がける、寝起きに日光を浴びる、ダンスやジョギングなどのようなリズム運動を行うなどが効果的です。
また意外にも涙を流すことも効果があり、自律神経が交感神経から副交感神経に切り替わり、セロトニンの分泌が促されます。
またセロトニンはメラトニンと同様に必須アミノ酸であるトリプトファンから作られるので、トリプトファンが豊富に含まれる肉や乳製品など摂取しましょう。
セロトニンを増やすには?
- 朝起きたら日光を浴びる
- 涙を流す
- 牛肉や乳製品を摂る(トリプトファン)
理想的な生活習慣がダイエットへの近道!
ホルモンは体内で分泌される化学物質なので、勿論個人差があり、どれも意図的に増やすことは難しいかもしれませんが、実践の価値ありですのでお試しあれ。
というわけで今回はホルモンにまつわるお話でした。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事のまとめ
- GLP-1とアディポネクチンは2大痩せホルモン
- 腸内環境の改善や空腹の時間をつくることが大事
- レプチンとグレリンは食欲に関連するホルモン
- メラトニン、エストロゲン、セロトニンは精神安定に関連するホルモン
- 正しいサイクルで生活することが大事
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