本記事は医師監修の下執筆されております。
「夜食べて太る」はウソ?食事時間と肥満は関係ない
2020.07.22
「夜食べると太る」これはよく知られたダイエットの定説です。
そのため、夕食はなるべく早くとったり、炭水化物をあまり摂取しないようにしたりといったダイエット方法がメディアでも紹介されています。
しかし、それは誰にでも当てはまる事実なのでしょうか?
実は食事時間と体重増減に関する研究を見ていくと、「夜食べても太るとはかぎらない」という面白い研究結果もチラホラ存在しています。
というわけで今回は「夜食を食べると太る」というダイエットの常識を疑ってみることにしました。
目次
【イギリス】食事時間と太りやすさは関係がない?
食べる時間は体重の増減に関係していないという研究結果がイギリスにあります。
イギリスでは3年ごとに国民の食事や栄養状態の調査を行うことが知られており、その全国食事栄養調査は研究者にとって貴重な資料となっています。
ロンドン大学キングスカレッジの研究チームは、2008~2012年の調査結果をもとにして、4~10歳の子供768人と11~18歳の子供852人、合計1620人のデータを利用して研究を行いました。
①20時以前に夕食を摂った子供たち
②20時以降に夕食を摂った子供たち
この2つのグループにおいて、子供の体重に変化はあるか、栄養摂取量に変化があるか調べたのです。
調査の結果はなんと、夕食の時間が遅くなっても、体重の変化や栄養摂取量に影響が見られないというもの、驚きですね。
日本では夕食をなるべく早く摂ってカロリーを消費するようなダイエットもありますが、この調査結果によるとあまり効果は期待できないかもしれません。
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夜食べる事と肥満の関係性は明確な証明がない
夜食べると太るということについて、肯定している論文と否定している論文を複数取りあげ精査した研究では、食事の時間が肥満につながるとはいえないという結果が出ました。
なぜなら、肯定している論文を見ていくと、食べる時間ばかりに焦点が当てられており、エネルギー摂取量を調整していなかったという問題があったからです。
つまり、夜遅く食べて肥満となったことは確認されましたが、食事量や摂取カロリーについては考慮に入っていなかったということなのです。
これでは研究に協力した者が、食事の時間によって太ったのか、それとも食事量によって太ったのか明確になりません。
したがって、それらの研究結果からは、夜遅く食べることが肥満につながるという結論は出せなかったのです。
実はこういう間違った因果関係を証明している実験って沢山あるので注意!
夜食べると太ると言われるようになったのはどうして?
食べる時間と肥満が関連していないとはいえ、夜食べると太ると言われるようになったのもいくつか理由があります。
夜は消費量が少ないため太りやすいという説
朝食はできるだけ多く食べて、昼もある程度しっかりと食べて、夜は食事量を抑えるのがよいといわれています。その根拠となるのが、昼は活動的に体を動かすことが多く、たくさん食べてもそのぶんだけカロリーを消費するから太らないというものです。
その反対に、夜はあまり体を動かさず、眠ると消化の働きも弱まるためカロリーの消費も少ない。だから、夜食べると太るという説。
この説に関してですが、食事の時間が遅くなっても、体重の増減や栄養摂取量に影響がないという研究を先ほど紹介しました。食事の時間が体重に影響を与えることはないのです。
なので、この説は間違いですね。
BMAL1(ビーマルワン)の働きによって太りやすいという説
ビーマルワンは体内に脂肪をため込んだり、その反対に脂肪を利用してエネルギー源にしたりと、脂質の代謝を調節する機能を持つたんぱく質です。
ビーマルワンは、夕方から深夜の2時頃にかけて量が増えます。
そして、夜遅くに食事をすると、量の増えたビーマルワンが脂肪を体にため込むように働くので、結果太りやすい。と言われるようになりました。
確かに、マウス実験によると、ビーマルワンが体内で正常に働かない場合には、脂質を代謝する機能に異常をきたすことがわかっています。
体重を減らすことにつながる脂肪の消費が抑えられ、炭水化物から糖質を分解してエネルギー減を得ようとするため、食欲が増します。
食欲が増える⇒沢山食べたくなる⇒太る
つまり、夜中に食べるのが原因なのではなく、夜中になると日中より食欲旺盛になって食べすぎてしまう、これが夜食べると太ると言われている根拠です。
「夜食べると太る」ではなく「夜食べすぎちゃうから太る」が正しい
食事の時間と体重の増減に因果関係がないのであれば、太る理由はとってもシンプルです。
摂取カロリー<消費カロリー
食事による摂取カロリーが、運動などによって使用される消費カロリーよりも多ければ太る、これだけです。
なので何時に食事をしてもいいですが、自分にあった食事量を決めて、それ以上は食べすぎないという食生活を送るのが肥満と無縁な生活を送るコツです。
農林水産省では、性別や年齢、体の活動量などで食べる量がわかるように、「食事バランスガイド」を提供しているので、そちらで自分にあった食事量を見直してみてください。
「めんどくさっ!」って思った人は以下の記事から自分にあった食事量を確認してみてください。体重と年齢、日ごろの運動強度から1日の適正カロリーが計算できます。
睡眠の質の悪さも肥満の原因になるので注意
質の悪い睡眠は、成長ホルモンによる体の新陳代謝を妨害し、太りやすい体の原因となります。寝る直前に食事を摂ると、体は消化活動を活発に行うようになり、それが深い睡眠を妨げます。
それに、夜遅くに食事を取るとどうしても睡眠不足になりがちですものね。
さらに、筑波大学の研究では寝不足だと甘い食べ物を食べたくなると、マウス実験によって証明しています。
レム睡眠が不足している場合、脳の前頭前皮質の働きによりショ糖や脂質などを含む高カロリー食品を欲するようになるようです。
こんな感じで寝不足でいいことなんて1つもありません。肥満の大敵です。良質な睡眠を心掛けましょう。
食べる時間と肥満は関係なくても、食事時間はきちんと決めましょう
食事の時間が遅くなっても体重が増えるわけではありませんが、それをいつ食べても大丈夫ととらえるのは間違いです。
間食は一日の総摂取量を増やすことになり、結果として肥満の原因になります。
マウスでの実験になりますが、一日中高脂肪食を自由に食べられるようにしたマウスと、一日のうち8時間だけ食べられるようにしたマウスとを比べてみると、食事の時間を制限したマウスは肥満にならなかったという研究結果が出ています。
なので食事の時間はなるべくきめておきましょう。
夜の食欲に勝てないと思ったら
夜になると食欲が増して自制できないという人は最近増えていて、「夜食症候群」という摂食障害に悩む人も増えています。
適正体重を維持して健康な体を保つためには、運動も重要なのですが、運動すればするほどお腹が減ってしまって余計ストレスがたまるなんてこともありますからね。
もし自分の抑えきれない食欲に悩んだら、当院おすすめのGLP-1ダイエット(食欲を抑えて満腹感を長続きさせるダイエット)を試してみるのも手かと思います。
以上、本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事のまとめ
- 食事時間と太りやすさは関係なし
- BMAL1の働きで夜は食欲が旺盛になる
- 結果、食べすぎで太りやすくなる
- 寝不足も肥満になりやすい
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