本記事は医師監修の下執筆されております。
体脂肪を減らすには脂質が必要!摂るべき脂質と避けるべき脂質
2020.11.03
身体についたぜい肉(脂肪)の主な原因は「脂質」ではなく「糖質」です。
勘違いしている方も多いですが、「脂質」は血管の修復、消化酵素やホルモンの材料になる超重要なエネルギー源です。
ダイエット中に脂質を全くとらない人がいますが、まーーもったいない!!適切な脂質を摂取すれば内臓脂肪はするする落ちるのですからね。
ただし!脂質には身体に良いモノと悪いモノがありまして、悪い脂質ばかり摂るとコレステロール値が高くなり、おデブ&生活習慣病まっしぐらです。
というわけで今回は脂質と脂肪についてのお話です。
目次
糖質を減らし脂質を増やした食生活なら痩せる!
脂質ではなく糖質が肥満や体重増加の原因であることは、イスラエルで行われた有名なDIRECT試験によって証明されています。
DIRECT実験
- イスラエルで行われた実験
- 実験期間は2005年7月~2007年6月の2年間
- 対象者は40歳~65歳でBMI値が27を超える男女322人
- ①~③の食生活グループにわけそれぞれ経過を観察
- ①カロリー制限した低脂肪食
- ②カロリー制限した地中海食
- ③カロリー制限なしの糖質制限食
- 結果は平均で①2.9Kg、②4.4kg、③4.7kgの減量
単純なカロリー制限よりも、脂肪は適度にとりながらカロリーは気にせず糖質制限した方が大きく痩せてるのがこの実験結果の面白い所です。
なぜ脂質をとった方が痩せるのかというと、それは脂質は様々な消化酵素やホルモンの材料になるからです。
脂質が足りなくなって、消化酵素とかホルモンが充分に作れなくなったら内臓脂肪がたまりやすくなるだけじゃなくて身体の色々な部分に問題が生じてしまいます。
だから脂質はむしろ積極的に摂るべきなのです。
逆に糖質は体内で余るとインスリンによって内臓脂肪になるのでなるべく減らした方がいいわけです。
脳
僕たちは①糖質、②脂質、③たんぱく質の順で消費するので、体内にいつも糖質が供給されっぱなしだと脂肪はいつまでたっても分解されないのさ!
余分な糖質はダイエットの大敵です。
糖質を減らし、良質な脂質を摂ることが脂肪を減らす近道です。
目次
なぜ良質な脂質を摂ることが大事なのか
身体によくない脂質を摂りすぎると、悪玉コレステロールが増えます。
善玉コレステロールよりも悪玉コレステロールが多い状態になると脂質異常症となり、内臓脂肪が増えたり、動脈硬化などの生活習慣病リスクが高まります。
ちなみに40歳以上の日本人だと約5人に1人が脂質異常症と言われています。会社の健康診断とかで「脂質異常症」と診断される人も多いので、良質な脂質について知ることはとても大事です。
悪い油を減らし、良い油を摂取すれば、身体のバランスも整いますよ。
中鎖脂肪酸:脂肪燃焼しやすい体に! ケトン体を効率的に作る脂質
中鎖脂肪酸の特徴
- 摂取後数時間でケトン体に変換される
- 脂肪が燃焼しやすい状態に
- ケトン体が増えると食欲抑制にも
- 認知症予防、抗酸化効果も期待
- 積極的に摂りたい
中鎖脂肪酸の最大の利点は小腸で吸収されたあと血管(門脈)を通って肝臓に運ばれ、素早くケトン体に変わる点にあります。
3~4時間程度でエネルギーとして利用されるため、中性脂肪として蓄積しにくいです。
体内にケトン体が増えると食欲も抑制されるので、食べすぎ防止にも一役かってくれます。
そのほかにも認知症の予防や抗酸化など、様々な効果が期待されます。
中鎖脂肪酸が多く含まれる食品の代表といえば、ココナッツやアブラヤシから中鎖脂肪酸のみを搾った「MCTオイル」があげられます。
中鎖脂肪酸の含まれる食材
- ココナッツオイル
- MCTオイル
味はほぼ無味無臭、ただし140~150℃で発煙するので揚げ物などには向きません。
1日小さじ1杯(約4.6g)~小さじ2杯強(約10g)のMCTオイルをコーヒーに入れたり、ドレッシングにしたりするのがおすすめです。
また牛乳をはじめとする乳製品にも、中鎖脂肪酸がたくさん含まれています。牛乳や乳製品にはそのほか不飽和脂肪酸であるオレイン酸も多く、脂肪酸をバランスよく摂取するのにピッタリです。
オメガ9系脂肪酸:悪玉コレステロールを下げる脂質
オメガ9系脂肪酸の特徴
- 悪玉コレステロールを体外に排出
- 血液サラサラ効果
- 冠状動脈性心疾患(CHD)のリスク低減
- 加熱にも強い
- 体内で生成可能なので摂りすぎ注意
オメガ9系脂肪酸にはオレイン酸やエルカ酸などがありますが、食用として摂取するのはオレイン酸がほとんどです。
オレイン酸は血液中のLDL(悪玉コレステロール)だけを下げる効果があることから、積極的に摂取すべき脂肪酸のひとつとされています。
2004年11月にFDA(アメリカ食品医薬品局)が提示したデータによると、1日に約17.5gの一価不飽和脂肪酸(オリーブオイル約23g)を摂取すれば冠状動脈性心疾患(CHD)のリスクを低減することが期待できる、としています。
中鎖脂肪酸の含まれる食材
- オリーブオイル
- なたね油
- アーモンドオイル
- 牛肉
オメガ9系脂肪酸が多く含まれる食品はオリーブオイルやナタネ油、アーモンド、牛肉があげられます。
特にオリーブオイルは加熱しても健康効果を維持できることから、主に地中海式ダイエットでよく使用されています。
オレイン酸は牛肉のなかでも特に和牛に多く含まれており、あのとろけるような美味しさを生み出すのに一役買っています。
オメガ3系脂肪酸:ヒトの健康維持に欠かせない脂質
オメガ3系脂肪酸の特徴
- 悪玉コレステロールを体外に排出
- 脂肪燃焼効果
- 体内の炎症予防効果
- 脳梗塞、心筋梗塞、認知症予防効果
- 加熱に弱い
- 積極的に摂りたい
オメガ3系脂肪酸はヒトの健康維持に欠かせない脂質といっても過言ではありません。
中性脂肪を減らし、悪玉コレステロールを排出し。さまざまな疾患の予防にもなります。
オメガ3系脂肪酸にはα-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)などがありますが、どれも積極的にとりたいですが、加熱に弱いという特徴もあります。
オメガ3系脂肪酸の含まれる食材
- くるみ
- アマニ油
- えごま油
- マグロ
- サバ
- サンマ
- じゃこ
アマニ油は女性ホルモンに似た「アマニリグナン」という成分も含むので女性は積極的にとりましょう。
トランス脂肪酸:絶対に避けたい動脈硬化の原因となる脂質
トランス脂肪酸の特徴
- 善玉コレステロールを減らす
- 悪玉コレステロールを増加
- 冠状動脈性心疾患のリスク
- 細胞に悪影響を及ぼす?
- 絶対に避けたい
トランス脂肪酸とは、炭素同士の二重結合が1つ以上トランス型になっている不飽和脂肪酸です。トランス脂肪酸はその多くが油脂を加工・精製する工程でできるものです。
食べ過ぎると冠状動脈性心疾患(CHD)や動脈硬化の高リスク、血液中のLDL(悪玉コレステロール)を増やしHDL(善玉コレステロール)を減らす働きがあります。
アメリカでは2018年6月以降、食品への添加が原則禁止されています
トランス脂肪酸の含まれる食材
- マーガリン
- ショートニング
- 加工食品
トランス脂肪酸が多く含まれる食品はマーガリンやショートニング、またこれらを原材料に使ったパンやケーキ、クッキー、ドーナツがあげられます。
牛肉や乳製品にも、天然由来のトランス脂肪酸がごくわずかですが含まれています。
良質な脂質を毎日の生活に取り入れてみよう
糖質を控えて良質な脂質を摂るだけでみるみる内臓脂肪が燃えやすい体が出来上がります。
加工食品などのトランス脂肪酸はなるべくさけて痩せ体質を手に入れましょう。
本記事のまとめ
- 良い脂肪を摂り、糖質をゆるやかに制限すると痩せる
- 脂質はホルモンや消化酵素の大事な材料になる
- 中鎖脂肪酸、オメガ9系脂肪酸、オメガ3系脂肪酸を摂ろう
- トランス脂肪酸は避けよう
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