脂肪吸引は安全?手術前に覚えておきたいリスクや料金相場について

本記事は医師監修の下執筆されております。

なかなか落ちないお腹のぜい肉、たるんだ二の腕も、スッキリ痩せられると人気の脂肪吸引。

過酷な運動や食事制限も必要がない上、リバウンドしにくいことからSNSでも評判です。

しかし脂肪吸引は、特殊なカニューレ(細い管のようなもの)で脂肪を取り除く「手術」である以上、合併症や死亡事故が発生する可能性がゼロではありません。

この記事では脂肪吸引の流れや手術の方法、手術を受ける前に知っておきたいリスクについて紹介します。

脂肪吸引手術とは

脂肪吸引手術ってなに?

脂肪吸引を行う部位の皮膚を少し切開し、直径1.4~3.5mmの吸引用のカニューレ(細い管のようなもの)を挿入して脂肪細胞を吸引する外科手術のことです。

痛い?

脂肪吸引手術自体は麻酔が効いているので、さほど痛みは感じないといわれています。しかし手術後は、腫れやむくみ、拘縮(皮膚の引きつれ)や痛みを感じる人は多いです。

傷跡や凸凹になったりしない?

あまり目立ちませんが小さな小さな傷は残る可能性はあります。脂肪吸引部位も一般的には2~3か月程度できれいなボディラインに戻りますが、これはもう医者の腕次第です。

保険適応はある?

美容クリニックなどで行われる脂肪吸引手術は基本すべて自由診療です。

リバウンドしにくいって本当?

脂肪細胞自体を吸引するのでリバウンドが起きにくいです。脂肪細胞について知りたい方はコチラをご覧ください。

目次

脂肪吸引は病院で即日受けられるの?脂肪吸引の流れ

「脂肪吸引を受ける!」と一大決心をしたら、すぐにでも手術を受けたいところですが、脂肪吸引は外科手術である以上、カウンセリングや血液検査など入念な準備が必要です。

特にお腹や太ももなど吸引量が多い部位の場合、来院当日に手術が受けられる病院はほとんどありません

日本のクリニックでは基本的には以下のような流れが一般的です。

  1. ネット又は電話でカウンセリングを予約
  2. 医師カウンセリング
  3. 血液検査
  4. 後日、脂肪吸引手術を受ける
  5. 手術後のアフターケア
  6. 終了!

一つ一つ詳しく説明していきます。

①ネット、または電話でカウンセリングを予約

美容外科の公式サイトの入力フォーム、または電話からカウンセリングの予約を行います。

脂肪吸引に年齢制限はありませんが、未成年の人は保護者の同意書の提出が義務付けられているほか、来院の際も保護者の同伴が求められることもあります。

また高齢者や妊娠・授乳中の人、心臓・腎臓に疾患がある人、糖尿病の人など、病院側がハイリスクだと判断した場合は手術を断られる可能性もあります。

②医師カウンセリング

カウンセリングでは、まず問診票で質問事項に回答します。

痩せたい部位や希望のほか、既往歴や現在飲んでいる薬についても正確に答えましょう。

特にピル(低用量ピル)は、術後、血栓症のリスクが高くなるため、手術前・後に休薬期間が設けられているので注意が必要です。

カウンセリング後にドクターが手術の方法やリスク、料金についてのインフォームドコンセントを行い、実際に患者の体型を診察して脂肪吸引の方針を決めます。

③血液検査

脂肪吸引を行ってもよいか確認するため、血液検査を行います。

検査の結果が出るまで数日かかります。

血液検査で問題がなければ、手術に進みます。

④脂肪吸引手術

手術日に来院したら、まず当日の体調を確認します。

当日、体調が悪い場合は手術が受けられないこともあります。

その後、手術を行う部位にマーキングし、麻酔をかけて手術を開始します。

手術にかかる時間は、吸引する部位や吸引量によっても異なりますが、一般的には1~3時間かかります。

⑤手術後

手術後は3~4時間程度、別室で休憩してから帰宅します。

吸引する脂肪の量によっては入院を要することもありますが、ほとんどの場合は日帰りです。

また、内出血や腫れ、むくみを抑えるために手術後すぐに吸引した部位をガードルで圧迫固定します。

この圧迫固定は睡眠時も含め、最低でも2週間程度は必要です。

そのほか、抗生物質や痛み止め、脂肪吸引後の腫れを抑える内服薬などが処方されます。

⑥アフターケア

手術後は、3日後を目安に来院し、術後のチェックとガードルの交換を行います。

遠方に住んでいる場合は、電話またはメールによるホームケアを行っている病院もあります。

その後は、部位によって異なりますが、1週間後(抜糸)、1カ月後、3カ月後に術後の経過観察を行い、終了となります。

脂肪吸引にかかる料金は?料金相場を紹介

脂肪吸引は保険適用ではないため、美容外科によって料金はまちまちです。

大手美容外科や脂肪吸引で満足度の高いクリニック数社の脂肪吸引の料金を参考に調査した結果は以下の通りです。

部位価格帯
頬、アゴ下14万円~50万円
二の腕12万~34万円
お腹50万~80万円
太もも35万~78万円
ふくらはぎ9万~38万円
クリニック6社の脂肪吸引手術の相場

脂肪吸引は物理的に脂肪を除去するので、一度除去した部分には脂肪がつくにくくなるので、外科手術のリスクを考えず、痩身という一部分だけに注目すると脂肪吸引は実はコスパが良いです。

顔の脂肪吸引は、各美容外科により、頬+アゴ下で14万~50万円と大きな差があります。

このうち、一番多かった価格帯は30万円台。

顔の脂肪吸引は吸引量が少ないため、他の部位に比べて料金が低めですが、病院によって料金が大幅に違うので注意しましょう。

なお、顔の脂肪吸引は、頬、頬骨上、アゴ下などパーツに分かれており、パーツによっても料金が異なります。

二の腕

二の腕(全周)の脂肪吸引は、美容外科により12万~34万円、一番多い価格帯は25万円です。

二の腕は、肩や肩甲骨横、上背部を含むと料金が高くなり、全部をあわせると50万円以上になることもあります。

お腹

お腹の脂肪吸引も、上、下腹部、ウェスト、腰とパーツが分かれており、全部を含めると50万~80万円、一番多い価格帯が70万円台です。

美容外科のなかには100万円以上かかる病院もあります。

また、お腹の脂肪吸引のように脂肪が多い部位の場合、吸引した脂肪の量によって料金が異なることもあるので注意が必要です。

太もも

太ももの脂肪吸引は、太もも全体で35万~78万円、一番多い価格帯が60万円台です。

太ももも、前面、後面、内側、外側などのパーツに分かれており、いずれか1部位、または2部位のみ脂肪吸引する場合は料金が安くなります。

逆に、お尻やひざを含めると料金は高くなります。

ふくらはぎ

ふくらはぎの脂肪吸引は、ふくらはぎ+足首で9万~38万円、一番多い価格帯が30万円台です。

ふくらはぎは脂肪吸引の難易度が高いため、吸引量の割には料金が高い傾向があります。

脂肪吸引は危険?副作用とリスク

残念ながら日本でも、数年に一度、脂肪吸引による死亡事故が発生しています。

アメリカのFDAが発表したデータによると、脂肪吸引による死亡率は、手術10万回で3人死亡(20~100人という研究もあり)という結果もあります。

こうした事故を回避するためには、リスクについて理解することや、信頼できる美容外科を選ぶことが何より大切。手術を受ける前に知っておきたい脂肪吸引のリスクについて紹介します。

感染症

脂肪吸引が外科手術である以上、感染症が発生するリスクは常に付きまといます。

日本でも、2001年、33歳の女性が太ももの脂肪吸引手術後にβ溶血性レンサ球菌(G群)による壊死性筋膜炎を発症、壊死に陥った皮下組織を切除するという事件がありました。

事件内容の詳細(傷口を含むショッキングな画像が含まれているのでご注意ください)

脂肪塞栓症

脂肪塞栓症は、脂肪吸引の手術中、破れた血管に脂肪片が流れ込むことによって起こる合併症です。

発症するのはごく稀ですが、脂肪片が脳または肺に詰まると最悪、死に至ることもあります。

予防には、血管のダメージが少ないベイザー脂肪吸引を選択することや、熟練した医師が在籍する病院を選ぶことなどがあげられます。

内臓穿孔

脂肪吸引の手術中、カニューレやプローブの操作によって内臓に穿孔(せんこう)が生じ、重篤な症状に至ったという事例が報告されています。

日本では、2009年、70歳の女性が医師によるカニューレの操作ミスで腹壁や腸が傷つき、2日後に死亡したという事件がありました。

事件内容の詳細

予防には、技術力の高い病院を選ぶことはもちろん、患者側も生年月日や既往歴を正しく申告することが重要です。

麻酔による死亡事故

脂肪吸引手術には、局所麻酔や静脈麻酔、全身麻酔などが用いられます。

しかし、ごく稀に、麻酔薬でアレルギーやショック症状を起こした事例や、投薬量の管理が不適切で低酸素脳症を発症し死亡したという事例も報告されています。

これらを防ぐには、麻酔の専門医が在籍する病院選びが何よりも大切です。

信頼できる美容外科とドクターを選びは必須だが…

脂肪吸引は十分な経験と知識のある医師が行えば非常に効果の高い痩身方法なのは間違いありません。

しかし、外科手術のリスクは残念ながら非常に高いと言わざるをえません。

今の時代ネット上の情報も鵜呑みにできないですからね。ちゃんとした病院だと思ってたらある日突然お昼のワイドショーで騒がれていたりする時代です。

もしあなたが脂肪吸引を検討しているなら、より安全度の高い『脂肪冷却』なんかを検討した方がいくらかマシだと思います。

痩せることは大事なことかもしれませんが、命に代えられるものはありません。

脂肪吸引を考えている人は本当によく考えてから行動するようにお願いします。

本記事のまとめ
  • 脂肪吸引は脂肪を直接取り除く外科手術
  • 術後の痛みはけっこうある
  • リバウンドリスクは低いと言われている
  • 値段は部位によるが20~30万円程度かかる
  • リスクをきちんと考えて受けよう

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