本記事は医師監修の下執筆されております。
赤身肉を取り入れた低糖質ダイエットって、本当に身体にいい?
2021.01.20
『ステーキはおいしい』ということはだれでも知っているこの世の真理です。
しかし「赤身肉ならどれだけ食べても太らない」「体にいいから積極的に食べるべきだ」という考えについては一考の余地ありです。
たしかに糖質の少ない赤身肉は確かにそれ単体であれば太りにくい食材ですが、実は赤身肉と加工肉の摂取は大腸ガンのリスクを上げることもわかっています。
というわけで今回は赤身肉を取り入れた低糖質(ケトジェニック)ダイエットについて解説しながら、栄養豊富、太らない、美容に良い、と三拍子そろった赤身肉の理解を深めていきましょう。
目次
赤身肉は太らないのは本当です。
赤身肉とは、牛・豚・羊などの肉のうち脂身が少ない部位の肉です。
牛でいうと肩肉、モモ肉、ヒレ、ランプ、サーロインなんかが一般的ですね。
それぞれの特徴とカロリーは以下のような感じです。
部位名 | 特徴 | カロリー(100gあたり) |
---|---|---|
肩 | 程よく脂肪を含んだ固めのお肉 | 240kcal |
バラ | 脂身が多くこってりしたお肉 | 371kcal |
サーロイン | ステーキで有名な代表部位のお肉 | 298kcal |
ヒレ | きめ細かい脂肪の少ないお肉 | 133kcal |
ランプ | 赤身でやわらかいお尻のお肉 | 234kcal |
モモ | 脂肪少なめなキメの粗い肉 | 165kcal |
バラやサーロインは脂身が多く高カロリーなのでダイエットでは注意が必要ですが、赤身肉はタンパク質が豊富で脂質が少なく、カロリーが低めな傾向にあります。
牛肉にはL-カルニチンが豊富で脂肪の代謝をスムーズにする効果もあります。
鉄分やビタミンB群も豊富なので特に貧血になりやすい女性にもおすすめできるダイエット食材といえます。
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調味料、主食、副菜の糖質に注意!
赤身肉単体では太ることはありませんが、調理で使う調味料や他の食材には注意する必要があります。
赤身肉ダイエットで失敗する人はたいてい、「赤身肉で糖質を避けているのに他の部分で糖質を取りすぎているから」です。
例えばステーキソースには砂糖(糖質)が使われていますし、お肉にあう白ご飯ももちろんだめ。
油を使う際もバターではなく、オリーブオイルやキャノーラオイルなどの不飽和脂肪酸を多く含む植物油を使いましょう。
意外と知られていませんがお肉と相性抜群の玉ねぎには100gあたり約7g程度の糖質が含まれているので注意です。
赤身肉ダイエットをするなら、お肉はなるべく塩コショウかワサビ、しょうがなどの香辛料で食べるのがおすすめ!
脳
お肉を食べる際は野菜、海藻、キノコで豊富な食物繊維をとることを意識しよう!
赤身肉の食べ過ぎは大腸がんのリスクになる?
実は赤身肉と加工肉の摂取が、大腸ガンのリスクを上げることがわかっています。
世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)は、赤身肉の摂取は調理後の重量で週に500g以内にするべきであり、さらに加工肉はできるだけ控えるようにと勧告しています。
特にハムやベーコン、ソーセージなど赤身肉を使った加工品は添加物も多いのでできるだけ避けた方がいいです。
ただし、もともと日本人は世界的にみても赤身肉・加工肉の摂取量が少ない国民で、平均的な摂取を続けている限りはそこまで過剰に心配する必要はないかもしれませんが。。
ダイエットに適したお肉の選び方
ダイエットに適したお肉
- 鶏肉や鴨肉(白身肉)
- グラスフェッドビーフ(穀物肥育牛)
- 鹿肉やイノシシ肉(ジビエ)
赤身肉によるがんのリスクを少しでも下げたいと思うなら、赤身肉にこだわらずに他の脂肪の少ない肉を選ぶと良いでしょう。
例えば、鶏肉や鴨肉などの白身肉は、タンパク質が豊富で脂質が少なく低カロリーでヘルシーです。
特に、鶏のむね肉はタンパク質の補給に最適で、糖質制限にもよく利用されています。
赤身肉を食べる場合は、同じ赤身肉でも特におすすめの種類があります。例えば、赤身の多い牛肉「グラスフェッドビーフ(牧草飼育牛肉)」がおすすめ。
私たちが普段食べているのは「グレインフェッドビーフ(穀物肥育牛)」といって、穀物を与えられて脂肪をためこむように育てられた牛ですが、グラスフェッドビーフとは放牧されて牧草だけを食べ、天然に近い環境で育てられています。
そのため、赤身が多く脂肪が黄色になり、栄養価が豊富、カロリーが低くてヘルシーです。天然に近い環境で育っている牛は、脂肪が少なく栄養価の高い肉質になるのです。
同様の理由で、ジビエもおすすめです。ジビエは、野生鳥獣の食肉でグラスフェッドビーフ以上に脂肪の少ない引き締まった肉のため、豊富な栄養を含んでいます。
タンパク質をとりたいなら卵、魚、豆、ナッツも!
タンパク質が豊富に含まれている食品は、もちろん肉だけではありません。
魚や鶏卵、大豆やナッツなんかも良質なたんぱく質を含みます。
世界で最も健康的な食事方法として選ばれ続けている「地中海食」は野菜・果物・全粒穀物類・豆類・種実類・オリーブオイル・ハーブ・スパイス・魚介類を多く食べ、赤身肉や加工食品を控えめに食べるという食事方法です。
地中海食を取り入れた研究では、多くの生活習慣病に予防的に働く結果も出ています。
赤身肉を食べる以外にも健康的にやせる方法はあるので興味がある方はぜひ。
赤身肉だけでなく、いろいろな食材を取り入れよう!
赤身肉は、高タンパクで脂質が少なくローカロリーなため、たしかにダイエットに向いている食材かつ身体にいい栄養素も豊富です。
しかし、どんな食材にもいえることですが1つの食材ばかりを食べ続けては、栄養が偏ってしまいます。
ダイエットで健康的に痩せたいなら、他にも高タンパクでローカロリーな食材はあるため、赤身肉にこだわらずにいろいろな食材を取り入れたほうが良い結果が期待できるでしょう。
ちなみに低糖質ダイエットの長期にわたる臨床データがないため、身体に対する影響についてまだ知られていないことが多いです。低血糖リスクもありますし、低糖質ダイエットは誰もが安心して取り組めるダイエット法ではありません。
健康状態に問題のない人の場合でも、極端な糖質制限はよくありません。
ダイエットをするとしても糖質・脂質・タンパク質の三大栄養素はバランスよくとるのが健康にいいということは忘れないようにしてください。
現代人の場合、食べ過ぎや過食を抑えるだけでもやせられますので。
本記事のまとめ
- 赤身肉は栄養豊富な優秀なダイエット食材
- でも食べ過ぎは大腸がんのリスクあり
- 特に加工肉は避けよう
- 鶏肉、グラスフェッドビーフ、ジビエは健康に◎
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